1/6 JAPIC 2025年 進藤会長年頭挨拶
Kosei SHINDO
新年あけましておめでとうございます。
昨年を振り返りますと、世界は米中の対立、ロシアによるウクライナ侵攻の継続、中東情勢の一層の緊迫、英・独・仏等、欧州の政権交代・混乱が進むと共に、エネルギー・食糧価格の高騰中国の内需低迷、異常気象の発生等によって、極めて不安定な一年となりました。
わが国においても、元旦の能登半島における地震や9月の豪雨、8月の日向灘地震に伴う南海トラフ地震臨時情報の発令等、自然災害の脅威に直面したうえ、記録的な円安、海外経済の停滞、原燃料価格の高騰に伴うエネルギー・物価高、人手不足の一段の深刻化といった懸念材料によって、不透明感が漂う一年でした。
このように国内外ともに明るい話題に乏しい一年ではありましたが、私どもJAPICは「国土強靭化」「産業の立地競争力の強化」「地方創生」に直結する社会インフラ整備から、鉱物資源開発、水力・風力発電等の再生可能エネルギー、林産業に至る幅広い分野での具体的なプロジェクトの検討を行って参りました。その上で全国各地において、その成果を携えてシンポジウムや講演会を開催することで実現に向けた機運醸成を図って参りました。その結果、進展したプロジェクトもあり、確かな手応えも得ることが出来ました。これもひとえに会員や関係者の皆様方の深いご理解と強力なご支援の賜物と、深く感謝申し上げます。
さて新年を迎えるに当たり、わが国の将来を展望致しますと、南海トラフ地震や首都直下地震の虞れ、人口減少に伴う内需と労働力の縮小、高齢化による社会保障の負担増、更には米国の政権交代の影響や世界各地の紛争に伴う国際政治の不安定、エネルギー・資源・食糧の安定供給や気候変動の進展等、数多くのリスクや課題が山積しています。
各国が国際競争力の強化に向けてしのぎを削る中、もしこれらの対応に後れを取ることになれば、これまで築き上げてきた国際的地位の低下が急速に進み、国力の衰退は免れません。これを防ぐためには、競争に打ち勝つ耐力(レジリエンス)を強化すること、即ち国土の強靭化、電力や食料の安定供給等、経済安全保障の政策を実現していく必要があります。
私どもと致しましても、企業が持つ最新技術やPFI等の事業手法を織り込んだ、交通・物流、防災、情報通信、観光、スポーツ、医療・介護、再生可能エネルギー等のインフラプロジェクトを提言すると共に、引き続き実現に向けて機運醸成に努めて参ります。
併せて本年は、投資や国民の消費を喚起する需要創出型のプロジェクトを念頭に置いて、カーボンニュートラル、生物多様性(ネイチャーポジティブ)、国民の保護等に関する新たなシーズを探索していく考えです。
私どもは異なる業界の会員が互いにアイデアを出しながら、政・官・学・マスコミの皆様と自由に議論できるプラットフォーム機能を有しています。これを最大限に発揮しながら、産業の活性化と国民の幸福(Well-being)の構築に貢献して参る覚悟です。
終わりに、皆様のご多幸を心よりお祈り申し上げるとともに、倍旧のご理解とご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、新年のご挨拶とさせて頂きます。