1/5 JAPIC 2023年 進藤会長年頭挨拶

皆様、明けましておめでとうございます。

昨年を振り返りますと、新型コロナウイルス感染症や米中両国の対立に加え、ロシアによるウクライナ侵攻、干ばつを伴う熱波等の異常気象など、世界中で複合的な危機が広がり、先を見通せない極めて不安定な一年となりました。

このように取り巻く環境は非常に厳しい一年でしたが、私どもは、国土強靭化、企業の立地競争力強化、地方の活性化に関する数々のプロジェクトを提言し、国、地方の経済団体・自治体、学界、マスコミの方々とも意見交換を重ねるとともに、連携しながら着実に活動を展開してまいりました。

これもひとえに、会員や関係各方面の皆様方の強力なご支援の賜物と、改めて深く感謝申し上げます。

さて、現在わが国は、人口減少や長引く経済の停滞等の構造問題に加え、緊迫する国際情勢を背景とした原材料価格上昇等の世界的なインフレの長期化や、米国の金融政策の転換による急激な円安の進行など、世界の目まぐるしい変動により、エネルギー・資源、食糧、防衛に至るまで、国の存立基盤を揺るがしかねないリスクに晒されており、政治・経済に亘る総合的な安全保障体制の構築が急務となっております。

このような不透明で不安定な時代であるからこそ、20年から30年後の長期ビジョンをしっかりと練り上げておく必要があり、このことは国民の生活や企業の経済活動を支える社会インフラを整備する場合にも同様で、様々な構造的リスクに耐え得る強靭性(レジリエンス)を持ったプロジェクトが必要です。

私どもJAPICと致しましては、常に長期的観点に立って、将来の国土のあるべき姿を議論しながら、ストック効果を産み出す質の高いインフラを次の世代に遺す、との決意を持って活動を推進してまいります。

とりわけ道路、港湾、空港、鉄道、駅、公園等のインフラによって、環境保全や安全性向上を実現することに加え、美しい景観を持った、利便性の高い快適な国土を作ることは、人口減少や少子高齢化が進むわが国の社会経済活動の活性化や地域の文化振興にとって必要不可欠です。

具体的には、グローバル競争に打ち勝ちながら、同時に地方の活性化を図るために、DX(デジタル・トランスフォーメーション)やGX(グリーン・トランスフォーメーション)を織り込んだ先進技術や、官・民連携による事業スキームを織り込んだ運輸、交通、物流、観光、街づくり、防災等のインフラの実現を推し進めてまいります。

企業や国民の意識を高め、わが国が再び活力を取り戻すための提言を発信することが、私どもに課せられた責務と考えます。このことを通じて、次世代が明るい希望を持てる社会の構築に、些かなりとも貢献してまいる覚悟です。

終わりに、改めて皆様のご多幸をお祈り申し上げるとともに、一層のご理解とご支援を心からお願い申し上げて、新年のご挨拶とさせて頂きます。