1/4 JAPIC 2022年 進藤会長年頭挨拶
皆さま、明けましておめでとうございます。
昨年を振り返りますと、世界中で引き続き新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、多くの尊い命が失われ、経済も深刻な危機に瀕しました。
わが国ではソーシャルディスタンスの遵守、ワクチン接種率の上昇、医療体制の持ち直し等によって、漸く昨秋から収束の兆しも見えてきていますが、ここにきて新たなオミクロン変異株拡大の恐れも出て来ております。
このため、今暫くは感染防止を徹底しながら、経済の回復を図っていくという状況が続くものと思われます。
世界中がコロナに翻弄された一年でしたが、私どもJAPICは、感染防止を最優先としながら、オンラインミーティングも最大限活用することによって、多くの委員会活動を継続してまいりました。その結果、幾つかのプロジェクトに関して提言を公表すると共に、議論を一層深めることによって、プロジェクト実現に向けた気運の醸成を図ることが出来ました。
これも長年に亘って、私どもの活動に深いご理解を戴いてきた会員や関係各方面の皆様方の強力なご支援の賜物と、心より厚く御礼申し上げます。
コロナ感染症は、世界中で長期間に亘って蔓延し、生活の豊かさや産業発展の鍵となる、人やモノの流れを著しく停滞させました。わが国においても個人消費やインバウンドへの直撃、サプライチェーンの寸断等によって、経済は大きく落ち込みました。更に、異常気象による河川の氾濫、土砂崩れが多発しており、道路・鉄道等のインフラや電力・水道等のライフラインの決壊が追い打ちをかけ、経済回復の足枷となっています。
このような混迷を打開し、前向きに国の将来を切り拓いていくためには、コロナ禍で得た反省や教訓も踏まえながら、持続的な経済成長を目指す方向に舵を切ってまいらねばなりません。
国際的な立地競争力の回復、国民生活の安心・安全、地方の活性化に極めて重要な役割を果たすインフラの整備においても、人口減少、少子高齢化、気候変動、激甚災害、資源の高騰といった様々な構造変化やリスクに耐え得る強い国土作りが必要です。
私どもJAPICと致しましては、常に中長期的な観点に立って、生産性やQOL(生活の質)の向上といったストック効果を、20年から30年後の将来において産み出し続けるインフラの実現を引き続き検討してまいります。
具体的にはSDGs、カーボン・ニュートラル、DX(デジタル・トランスフォーメーション)といった社会経済の急速な潮流に的確に対応したプロジェクト作りに取り組む考えです。そして民間企業が持つMaaS、ICT、AIや再生可能エネルギーに関わる技術や研究開発の成果、更には資金調達、事業運営ノウハウを積極的に織り込みながら、運輸、交通、物流、街づくり等に関わる、大規模で公益性の高い中長期的なプロジェクトの検討を推し進めて参ります。
今や世界は、コロナ禍を契機として大転換期を迎えており、各国は競って新たな社会・経済システムの構築を模索し始めております。このような状況を強く認識したうえで、私どもJAPICは、インフラの力でリスクに対して強靭な耐性(レジリエンス)を備えた国土作りに一層邁進する覚悟です。
このため、本年も全国の産・官・学・政界の皆様と頻繁に議論を重ねてまいります。そして、各界を横断する数少ないプラットフォーム団体として、数年来検討を深めてきたプロジェクトの提言をシンポジウムや講演会、更にはメディアを通じて広く社会に発信し、希望の持てる明るい将来の構築に微力ながら貢献してまいりたいと存じます。
終わりに、改めて皆様のご健康をお祈り申し上げると共に、一層のご理解とご支援を心からお願い申し上げて、新年のご挨拶とさせて頂きます。